旦那とハノイの地元で墓参りに行った。
彼のお父さんに会うためだ。
二人乗りバイクでお墓に着く。
ヤギが墓地の草を群れて食べているのが印象的だった。
飲み物を備え、煙草に火をつける旦那、
いや、今この時、彼は息子なんだ。
この煙草がお父さんは好きだったのかな。
燃え尽きた線香の針金に煙草をさして手を合わせる。
淡々と墓参りを済ます旦那だったけど、
帰り際にバイクに跨り、少しの間お父さんのお墓を見つめてから発進した。
今日はお母さんが準備してくれた自宅のパーティーがある。私が帰国する前に準備してくれたのだ。
家に帰ってから、また仏壇に手を合わせる。
居間に降りる前に、旦那は「もう一回見るよ」と言って、お父さんの写真の方を振り返った。
私はなんだか苦しくて、「やっぱり顔が似てるね」としか言えなかった。
結婚をする前に、彼が2日ほど連続で夢を見たことがある。それは、お父さんや父方の祖母が私との交際を反対する夢だったというのだ。その時私は悪い場所にいて夜の仕事をしていた。夢でお父さんに別れるように言われたよと笑いながら彼は話したが、私は結構、真に受けてしまっていた。だから、私のこと許してくれるだろうかという気持ちでいつもいた。どんなに怖いお父さんなのだろうか?と。
でも、お父さんの写真を初めて見た時は、私は嬉しかった。泣きそうだった。彼に似ているから。そして表情は穏やかだったから。会って話したら、許してくれるのだろうか…まだそう考える私がいた。
まだ子供だった彼にとってどれほどの痛みだったのだろうか?そう思うけど彼はあまり多くを語らない。けれども、一人で母を支え、そして家族を亡くした友人には肩を支えながら「頑張れ」と声をかけることができる彼を私は愛している。
手を合わせながら私は、お父さん、私がベトナムの家族も支えられるように頑張ります、そう心で唱えた