地下鉄這うねずみ 雨漏り水は甘いか
列車が来るぞ ごみと並ぶ灰色の毛並みは
その体の小ささから すき間を逃げ惑い
人々は目を覆うが 隙間は広いことを知る
後腐れない生活 部屋の隅は明るいか
明日が来るさ 花を飾る大きなきみの手は
その体の大きさは すき間を埋めつくし
彩りが目を覆う 世界は広いことを知る
青色がほしい午後に フィルムを捨てた
列車は来ない バスも車もいらないから
この体の小ささと すき間を塗ってゆく
景色が目を覆って 二人は空の色を知る
(ねずみ色 2018/11/19)
往き交う車、人 その規則性をうたがう事もなく
さあいとなみとは 息をするだけできっと
いそがしい
信号を待つ犬 わたしはきっと犬にも主にもなれず
さていとなみとは 白い肌をなで祈る夜の
永遠を
さばかれた魚の列 その流れの滑稽さ笑み引きつる
ああいとなみとは 生きのびるだけでどうしても
むずかしい
(鯖缶 2018/11/19)
嘆くな、10代が終わる。年齢など区切りは全く気にしていないつもりだが生まれてからこの脳と身体で何とかやってきて感じる事は特に無いと言えば嘘であり、血の通っていないような流れていないような日々に思うことはないと言えば嘘であり、このまま模範解答を目指して生きる漠然とした意識に従う気でいるのかと言えば全く全くの嘘である。ふざけるな、自意識に絡めとられた身体は年々弱くなり、無条件降伏のもと疑うことなく日常を獲得したような気持ちでいた。気持ちでいただけだったのかもしれない。ああ、時間は過ぎていく。淡々と。遣りばのない怒りを胸に使い古した気持ちに新しく火がついたのはここだけの話。売り物の憂鬱をトイレで吐き捨ててる間にもカメラは回り続けている。エンドロールが終わる頃には次の台本を書き終えていていようよ
(救済措置 2018/10/23、11/20 訂)