血をさわる

 

皮膚に針を思いっきり通してみると、案外じんわりと痛みが気持ちいい。少し手こずったと言われ、生温かい血が流れる。私から流れる優しい温度を久しぶりに確かめた。大人になると流血あんまりしないから。ファーストピアスは濁った赤色に意図せずなった。

 

念の強さ、恐ろしさを考えると、好きな事をして生きるってことは正しい、この世界に悔いを残さずに生き切るって意味ならば。

同時に、音楽にのる念も確実に存在するものだと確信した。逆に今まで念を軽んじていたのだろうか?音、声には魂が宿ると思った。

 

人の思いは強い。私たちは魂が肉体を使って交わり合う生き物なんだと考える。光の形をした魂が、蝸牛の交尾みたく混ざりあうような、そんな感じを求めているのだろうか?

 

生きれば生きるほど、どうでもいいと思えることが増えた。冷や汗が出るほど気にしていた様な事も、別にどうでも良くなった。それは、周りに受け止めてくれる人たちがいるからなのだろう。

 

私は私の血を触ってみて、優しい、温かさを感じた。私は人に優しく、温かくありたい。優しさというのは勇気がいることだ。きっとなれる、そう思える温度だった。

そして、その温度で、私のネイティブな感性で生きていたい。

 

(2021.12.)