朝、しゃがみ込んで商品の陳列をする冴えない地元スーパーの店長の丸い背中
昼下がり、「パチンコ屋で財布失くしたらしいよ」「あの人借金もしてんのにどうなのかねえ」「お母さんと二人暮らしなんでしょう?いい年してねえ」「年金で暮らしてるんじゃあないの?」アルバイト先から聞こえる会話
夜、どれも私の胸をしめつける。
誰もが日常を疑わずにやっているのかもしれないし 誰もが演技と知っていてやっているのかもしれない。
私にはすべて物語に見える。関わることはないのだろう。しかし私自身も他者から見たら一部なのかもしれない、物語とかドラマとかの。
ああ、だるいだるい。
でも憂鬱のなかにどこか映画のワンシーンを見ている。相変わらず冴えない僕たちは、先のない濁った海をどこまでも泳ぐんだけれど、たまにみあげる雲の形が、幼いころふれたくて仕方なかったやつに似ていてしょうがなくて、だからまだまだ、だましだまし いや手に入れたいから 泳いだりたまに浮かんだりしている、それでいいよ。