雑記9

 

 

明るいうちに夜中を走れ

 

そろそろ襟足が汗で濡れる季節が近づいてきた。そうでもなかった。

でも いつのまにかもう 春の風がふいて、すぐに変われるような気がした。

夜遅く、大学近くの寿司チェーン店で、友達に変わりなよと言いながら本当は自分の方が変わりたいと強く思っている、このことに気付くのに時間はさほどかからなかった。そんな友達は今日髪を染めたらしい。季節の変わり目が私には分かる。身体がはっきりと分かっている。歳をとったなどとは言いたくない。もちろん、この雨が止んだあと、夜中にまた走り出すつもりだ。

 

 

 

架空総本家

 

コンビニの24時間営業の是非が世間では議論されている。

個人的には深夜のコンビニに、細かく言うと深夜のコンビニの明かりの中集まっている他人に、意味もなくかけこむことで精神的に救われたことがあるため、もし早くに閉まってしまうのならば少し寂しい気がするなあ と思っている。

昨日もまた深夜のコンビニにアイスやお菓子を買いに行った。

商品を選んでいるあいだ、客に構わず夜勤の店員が楽しそうに会話しているのを見て、私が求める日常の愛おしさがそこにはあったように思う。

基本的に生きてるだけで上映中、平凡な日常ドラマの主人公気取りである私にとってそれはかけがえのない舞台であった。

日常を描いたはずの画面の中の日常を実際の日常の憧れへと還元している、架空に恋をし続ける、そんな者たちのために24時間営業を残さなくてもいいですけど、あれ、深夜のコンビニが好きです。すみません。

 

 

ラブコール

 

脳内でふとした時に聞こえる声がある。

おまえのこときらい、それはずっとそう言っている。

私の記憶では、私は誰からも面と向かって嫌いだと言われたことはない。この人は私のことが苦手なんだろうなあと思う人に二人ほど出会ったくらいだ。てかそもそも、「嫌い」だなんて思えるにはよっぽど相手のことを知っている必要があるし、そんな人間はどこにもいない、嫌うエネルギーよりも忘れるエネルギーの方が私には大事なのだ。

いったいこの声は何なのか。普段誰かに素直にものを言わないことへの当てつけか。どんなに幸せな場面でも心無い罵声を浴びせてくる自分の脳内とはもう十分に付き合い切って、扱いも分かったつもりでいる。実際、自分以上に自分を傷つけることのできる相手はあまりいない。でも誰がこの言葉を聞いてあげるんだ、私しかいなかった、一生一緒なわけだから、こんなめんどくさいおまえのこときらい いやでもおもしろいからやっぱ好き なにこれ