映画『暁闇』を観て

 

 

 

今の私には何かが欠けていた

それはとても大切なものだったような気がしていた

 

道行く人に睨まれないように、倒されないために すれ違う人たちを睨み、倒そうとしていた

そういう生活に堪えられないような虚無を感じていた

 

 

何も書けなかった 何も浮かばなかった

とにかく景色を失っていた

描けることはなにもなくて息が詰まっていた

終わりのような気がしていた

 

私は何を大切にしていたのかももはや忘れかけていて、感情もほとんどなかった

 

 

その映画を観るまでは

 

 

始まった途端に、私の中の憂鬱か何かがすごく揺れていた、映像とともに鳴って響いて聴こえてくるもの、それは私の中にあるものと似たような音や色をしていると思った

 

 

なんで、これを忘れていたんだろう

言葉には出来ないけど、ずっとずっと失くしていたものが蘇ったことが、はっきりとわかる

 

 

それは私にひどく穏やかに染みわたる、暗いとか痛いとか、そういう言葉で表すのは違う気がしている。

 

 

映画のキャッチフレーズでは、何を失くしたんだっけ、とあるが、私としては、これを失くしたんだった。という気持ちだった。

 

 

とても好きな映画になりました

またどこかで観れたらいいな